戦術でマドリーを劣勢に追い込んだドルトムント。2失点目を除けば、パフォーマンスは全員すばらしかったと思う。しかし、マドリーの粘り強い壁を最後まで崩せず。60分過ぎたあたりから"ザビッツァー"、"ブラント"、"ジャン"を中心に、全体的に運動量が大きく低下し、失速してマドリーペースになってしまった。前半有利に進めた時点で先制点が奪えなかったのがドルトムントの敗因になりそう。後半で巻き返し、勝ち方をしってるマドリーはさすがとしか言えない。というかもはや理不尽。
とは言ってもマドリー側も課題が残る試合となった。1つ目は9番タイプの選手がいない分、"フンメルス"、"シュロッターベック"の背後の取る動きやポストプレーによる引き出しが全くなかったことにより、ドルトムントの守備を崩せなかったこと。"ベンゼマ"が抜けた穴の代償とも言える。
2つ目はマドリー版4-3-1-2布陣にて守備の弱点の1つである"クロース"の機動力の低さを突かれたこと。"クロース"と"メンディ"の間に"ザビッツァー"がポジションを取り、"メンディ"の背後を狙ったりなどでドルトムント側は右サイドで試合を組み立てやすかった。
3つ目は後方からのビルドアップが"クロース"頼みすぎであること。"リュディガー"、"ナチョ"のビルドアップがなさすぎて、"クロース"がボール持った時に"ザビッツァー"のプレスが速くて、なかなかパスの出しどころがなかった。かろうじて"フェデ"や"カマヴィンガ"が上下に動いてなんとか何とかスペースを生み出そうとしていたが、"ベリンガム"へのパスコースを"ジャン"がうまく消して、マドリー前線にあるスペースを使わせなかった。今季でリーガとCLのタイトルを取って引退する"クロース"が来シーズンからいなくなることがどれだけ大きな影響を与えるのか。
※及第点6.0(レアル・マドリード)
▼GK
*1* ティボー・クルトワ 7.5
マドリー守護神として理不尽なセービングを披露。この試合勝利における絶対的立役者の1人。
▼ DF
*2* ダニエル・カルバハル 7.5
"アデイェミ"の速さに苦戦しつつも、最後の部分はやらせない運動量と守備力は見事。苦しい時間帯でも右サイドの高い位置で起点を作りながらオーバーラップもできるあたりがほんとすばらしい。キャプテンシーも兼ね備え、先制点まで取ってMOMに選出されたすばらしいパフォーマンス。現代SBの鏡。
*22* アントニオ・リュディガー 6.5
前半、"カルバハル"のカバーで甘いところがあったが、しっかり守りきり、クリーンシートに大きく貢献。ビルドアップでロングフィード1本通したかなってくらいなので、もっと増やしてもいいと思う。
*6* ナチョ・フェルナンデス 6.5
"フュルクルク"のポストプレーに苦戦しつつも、背後を取られず、最終ラインを守り切った。ビルドアップ全くなかった気がするのがやはりもったいない。
*23* フェルランド・メンディ 7.0
数的不利な状況を作られる苦しい展開の中でも"サンチョ"相手に個では負けず対人戦で強さを見せ左サイドから突破されなかった。
→*3* エデル・ミリトン (評価なし) (90分IN)
▼ MF
*12* エドゥアルド・カマヴィンガ 6.5
"クロース"からボールを引き出し前線へ縦パスを送ったり、足元の技術の高さを見せたり、守備でも対人戦で強さを見せたボール奪取と右サイド側のカバーはすばらしかった。ただ、守備時のポジショニングが気になるシーンもあった。"ブラント"のマークを空けすぎている印象があり、"リュディガー"に引き継ぐのか、自分がマークするのかはっきりしてなかったように思える。またスペースを使われないよう埋めていたが、左サイドに釣り出された"クロース"との距離が開きすぎていたため、ドルトムント側のスルーパスを何度か通され、ピンチを招く場面もあった。これは"カマヴィンガ"がもっと中央を閉じて気にすべきところかなと思う。"チュアメニ"はこの辺りの管理がすごくうまい。
*15* フェデリコ・バルベルデ 7.5
個人的に影のMVP。豊富な運動量で右サイドを全体的にカバーし、"クロース"、"カマヴィンガ"からボールを引き出しスルーパスも出せる。前半ドルトムントにペースを握られたが、押し込む時間を作れたのは"フェデ"のおかげだと思う。最後まで走り続け、中盤の強度を保った。
*8* トニ・クロース 7.0 (85分OUT)
"ザビッツァー"のプレスを嫌がりながらも何とか前線にボールを供給。フォーメーションの形上、守備面で後手に回るシーンはあったが、個人のパフォーマンスとしてはいい出来だったと思う。
*5* ジュード・ベリンガム 5.5 (85分IN)
"ジャン"のスペースのカバーがうまかった。高い位置にできたスペースをうまく使えず、落ちてボールを受ける動きが多かったが、押し込んでいる時間帯で前線が"ロドリゴ"しかいない状態を作ってしまい、攻撃を停滞させてしまった。正解は"ロドリゴ"を孤立させることではなく、"ロドリゴ"とポジションを入れ替えながら、ドルトムントのディフェンスラインを乱しながら、"ジャン"のマークを外すことだったと思う。
→*10* ルカ・モドリッチ (評価なし) (85分IN)
▼ FW
*11* ロドリゴ・ゴエス 5.0 (90分OUT)
難しいタスクを背負った。サイドからのドリブルは切れ味があってさすがだったが、中央にいる間は"フンメルス"、"シュロッターベック"に抑え込まれ、存在感がほぼなく残念。
*7* ヴィニシウス・ジュニオール 7.0 (90+4分OUT)
自分の力でなんとかしようとして、前半はとくにボールロストが多かったが、マドリー劣勢の中でも何度かチャンスを作り、脅威となった。後半にもチャンスを活かして勝利を決定づける2得点目に貢献。
→*14* ホセル (評価なし) (85分IN)
→*17* ルーカス・バスケス (評価なし) (90+4分OUT)